プロジェクトProject

企画

インスタレーション「きいろい線とピンクの点」

2020.9.19 – 10.4
インスタレーション「きいろい線とピンクの点」

アノオンシツの最初の作品制作プロジェクトとして、9月19日(土)から4日間、作品制作のプロジェクトを行い、30名ほどの方にご参加いただきました。

完成したインスタレーション「きいろい線とピンクの点」を、伐採開始の前日、10月4日(日)まで公開します。ただし、現場の伐採作業の進捗によって、途中で部分的な撤収作業が入る可能性がありますが、その部分も含めて公開します。

インスタレーション
和紙、鉛筆、ピン、ナイロン糸
2020

札幌冬季オリンピックのために建てられた石山通りを渡る橋が、耐震基準を満たさないことで、来年の夏頃に撤去することが決まったそうです。空をわたる道がなくなるために、また別の道が必要となり、道をつくるための測定がなされました。その結果、土と木の場所に、きいろい線が敷かれました。

きいろい線は、新しい道の部分を示すしるしです。そのしるしの中に入っている木には、ピンクの名札が貼られました。倒れることを待たされるピンクのしるしには数字も言葉もなく、ホチキスの形だけ残されています。そのピンクのしるしを基準に、木の肌をフロタージュ紙に写しとり、一本のピンクの線でつなげました。

紙の上には、樹皮の凸凹やパターンだけでなく、木に広がった葉っぱや枝、蔦などの痕跡が広がりました。また種類が異なる木はもちろん、同じ木であっても模様は全て異なることに対する発見もありました。

直線が存在しない森の中に人工的なピンクの直線がつくりだす幾何学的な図形は、見る人の角度や位置によって変化し、レザーの線のようにも見える、不思議な感覚を引き起こします。

道路と並行する森の中。敷かれたきいろい線と、打たれたピンクの点。

これは、線と点をつなげて面で記録することで、木が生きてきた場所と時を残す作品です。

普段通り過ぎる木や場所でも、作品としてあらためて見つめ、その裏にあるストーリーを知ることで、見る人に新しい発見をもたらします。森の生物に対して、森と私たちとの距離について、それぞれがそれぞれの立場からあらためて考えることは、科学技術コミュニケーションにおいても大事な要素です。

概要

インスタレーション「きいろい線とピンクの点」

会期 2020年9月25日(金)〜10月4日予定 ※伐採開始前まで
時間 平日12:00~15:00 土日10:00~16:00
休館 会期中無休
会場 アノオンシツ(北海道札幌市北区北8条西11丁目2 北海道大学研究林内)
料金 入場無料

協力
北海道大学 CoSTEP
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 森林圏ステーション札幌研究林
林 忠一(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター)
岡 碧幸(作家、北海道大学 CoSTEP 13期生)
藤戸永志(北海道大学 札幌研究林)
佐々木圭子(北海道大学 札幌研究林)
佐々木義久(北海道大学 大学院農学研究院 木材工学研究室)
朴 志現(北海道大学 CoSTEP 研修科)
朴 秀寅(北海道大学 研究生)
許 端娥(株式会社イズミシステム設計)
藤田涼子(北海道大学 CoSTEP 16期 アート&デザイン実習)